葛木のディープバリュー投資ログ

投資は自己責任です。だからよいのです。

米国株インデックス投資で儲けられる?

こんにちは葛木です。
今回は米国株インデックスに連動する投資商品に投資を行った場合、本当に儲けられるのか検証した結果を共有します。

使用したデータ

今回使用したのはyahoo! financeのS&P500の1985年1月から2023年7月までの月次データです。

finance.yahoo.com

この調整後終値の値をもとに検証を行っていきます。

平均的な成績はどうか?

この期間のS&P500の月利回り(月変化率)は平均で0.8%、年利にすると9.6%となります。とてつもなく魅力的な投資先に思えます。ちなみに月利回りのヒストグラムは以下のようになっています。

実験

では、この過去の利回りを使用してシミュレーションしてみましょう。

期間を仮に2023年8月から2033年7月までの120か月とし、各月の利回りを過去の月利回りからランダムに適用させます。調子のよかった月利回りを多く適用させたシミュレーションでは成績は上振れますが、逆もしかりです。当然、1回のシミュレーションだけでは偶然の影響が大きすぎますので、100回シミュレーションを実施して、その中央値で判断します。
以上の設定で行った実験の結果を以下に示します(グラフが煩雑になるので、各々のシミュレーション結果は20本だけ示しています)。

1本1本の線が各シミュレーションの結果を示しており、太い赤線が中央値です。
初期値を100としており、だいたい10年で資産は2.5倍に増えています。やはり魅力的な投資先と思えます。

本当にそうか?

ただ、投資というからには我々の大事なお金が減ることもあります。また、過去のパフォーマンスが将来も再現される保障などどこにもないわけですから、賢明な人であれば損切の設定を行うことでしょう。
そこで、上の実験で10%資産が減ったときに投資から撤退する(損切する)こととした場合、どうなるか実験してみました。その結果は以下の通りです。

資産の増加はだいたい1.8倍程度にまで減少してしまいました。当たり前といえば当たり前ですが、当初想像していたほどの利益は得られそうもありません。
また、注目すべきこととして、だいたい3~4割のシミュレーションが損切設定に引っかかってしまいました。つまり、3~4割の確率で利益を得るどころか、損失で終わるのです。過去の魅力的なパフォーマンスが再現するという非現実的で楽観的すぎる仮定を入れてさえ、こうなるのです。

ちなみに損切設定を30%にしても1割程度は損切で終わっています。頑張って大きな損に耐えたのに、10回に1回は損切で終わるとは悲しいですね。。。

まとめ

今回の件から我々が得るべき教訓は、どんなに魅力的な利回りが期待できても、変動の大きい商品ならある程度の損は覚悟しなければ儲けることはできない、といったところでしょうか。米国株インデックスに連動する投資商品で儲けることは可能だけど、覚悟と戦略が必要そうです。至極当たり前ですけど(過去の平均利回りを根拠として資産が単純に右肩上がりになるかのような宣伝が、いかに非現実的かよくわかります。どことは言ってません。)

なお、以上がガバガバな実験であることは重々承知しているので、皆様に何かを勧めようという意図は全くありません。あくまで個人的興味の産物以外の何物でもありません。
ではでは