こんにちは、葛木です。 前回の記事はTradingViewで棒グラフをずらす方法について解説しました。いきなりマニアックでしたかね。 kkkuzuki.hatenadiary.jp 今回の記事では、株価の抵抗線を考えるためにチャートにネットネット株価を加える方法について解説します。
今回の目標
今回の記事を読めば、以下のようなチャートを作成できるようになります。
忙しい人のために、このチャートに適用したPineスクリプトをはじめに示しておきます。Pineエディタにコピペしてチャートに追加するだけでOKです。
//@version=5 indicator("ネットネット株価") rs=request.financial(syminfo.tickerid, financial_id="TOTAL_CURRENT_ASSETS", period="FQ", gaps=barmerge.gaps_off) fs=request.financial(syminfo.tickerid, financial_id="TOTAL_LIABILITIES", period="FQ", gaps=barmerge.gaps_off) bso = request.financial(syminfo.tickerid, "BASIC_SHARES_OUTSTANDING", "FQ") net_t=(rs - fs)/bso * 0.66 net = if net_t > 0 net_t else 0 plot(net, title="ネットネット株価", color=color.blue, linewidth=2, style=plot.style_area, offset=0)
Pineでネットネット株価を計算
Pineエディタの開き方や描画可能な財務情報については前回の記事をご覧ください。ここではネットネット株価を、(流動資産-負債)/平均発行済株式数 * 0.66として計算しています。ネットネットとは何か?についてはググるなりすれば、詳しい記事を見つけられると思いますので、ここでは解説しません。この値を株価が下回るようであれば、非常に割安な状態になっていると思っていただければとりあえずは十分だと思います。
それではスクリプトを見てみましょう。
//@version=5 indicator("ネットネット株価") rs=request.financial(syminfo.tickerid, financial_id="TOTAL_CURRENT_ASSETS", period="FQ", gaps=barmerge.gaps_off) fs=request.financial(syminfo.tickerid, financial_id="TOTAL_LIABILITIES", period="FQ", gaps=barmerge.gaps_off) bso = request.financial(syminfo.tickerid, "BASIC_SHARES_OUTSTANDING", "FQ") net_t=(rs - fs)/bso * 0.66
rsが流動資産、fsが負債、bsoが平均発行済株式数、net_tがネットネット株価を表しています。四半期ごとの値を見たいのでperiodはFQとしています。 本当はこれだけでもいいのですが、割安でない株の場合だいだいこの値はマイナスになり、そのままチャートに加えると非常に見づらくなるので、net_tが0以下の場合は0にするよう以下の処理を加えています。
net = if net_t > 0 net_t else 0
Pineのif文を使用しています。あとはplotし、
plot(net, title="ネットネット株価", color=color.blue, linewidth=2, style=plot.style_area, offset=0)
"チャートに追加"を押して、 追加されたグラフの上で右クリック→移動する→上の既存のペインへ、をクリック、 左側の縦軸上で右クリック→すべてのスケールを一つに結合→右側に、で完成です。
これが描画できて何がうれしいのか?
株価がネットネット株価付近というのはすなわち、その会社の資産に対して時価総額が非常に低い状態にあることを示します。つまりそれは、ほとんど期待されていない銘柄なのです。そのため、ある銘柄の株価がネットネット株価に近いからといって喜んで飛びついてはいけません。その後その会社が赤字続きとなり、資産をどんどん食いつぶしていくことになるかもしれないのです(皆そう思っているから割安なのかもしれません)。
そのため、最低限TradingViewでネットネット株価が右肩下がりでないことを確認する必要があります。今後も同じようにネットネット株価が上昇する保証はありませんが、少なくとも右肩下がりよりはよいでしょう。また、ネットネット株価が株価の抵抗線として機能している銘柄もあるかもしれません(例として示しているSECカーボンはまさにこれ)。これは多くの投資家が割安指標としてネットネット株価を見ているからだと思います(いくら不人気でもネットネット株価を割るのは安すぎると判断している)。
ネットネット株価が右肩上がりかつ株価が過去に反応しているなら、しぶとくネットネット株価付近で買うことさえできれば、非常に良いトレードができると思います。
ではでは